第6章 *記憶
と、そのとき。
ぐううぅぅぅ。
そんな間の抜けた音がして、次の瞬間には沈黙。
え、え、私?いやまさかそんな筈は。
半ばパニックになりながら希美を見ると、照れたような顔で「恥ずかしいな」と笑っていた。
え、幽霊ってお腹鳴るのか?鳴っちゃうのか??
「ねぇねぇ美亜、お腹空いたよー」
「あー、はいはいはい、ちょっと待ってて」
そう言ってキッチンに向かうと、後ろから「やったぁ」という声が聞こえた。
…そんなに喜ぶことなのだろうか。
私は冷蔵庫から昨日の夜ご飯の残りを取り出すと、電子レンジの中に入れる。
「…そういえば、美亜は、何時に学校行くの?」
学校。
その言葉を聞いた途端、私の動きが止まる。
きっと希美は純粋な質問として聞いているんだろう。それ位分かってる。けれど、私はそれに答えることが出来ない。
何故なら、私は学校に行っていないから。
「何で…そんなこと、聞くの…?」
声は震えていないだろうか。
……きっと震えている。