第5章 *夢
何を言われているのか、さっぱり分からなかった。
夢の中だから真に受ける必要も無い筈なのに、こんなに真剣に考えてしまうのは、一体何故だろう。
『希美がいなくなるのが怖いから。でしょ?』
「……っ、」
『あれー、図星ー?』
目の前で笑う『誰か』に、私は何も言えない。
すると、目の前の彼女が、ぐにゃりと歪む。
そして…………。
姿を、変えた。
彼女……否、希美は口を開く。
『ねぇ。あの日、私が死んだのは、誰のせいなの?』
希美は首を傾ける。
私を、責めるように。
『ねぇ』
答えてよ。
希美の声が、夢の中の空間に響いた。