第5章 *夢
「…………っ!」
そこで、目は覚める。
背中が冷たい、と思った。
そんなに汗をかいたのか、とも。
なんだか、嫌な夢だった。
それでも、あの子が言っていたことは、全部事実なのだから仕方ない。
そして、時間を確認しようとして、時計の掛かっている方を向いた時だった。
「……どうしたの?」
ふと声がした。
そちらを向けば、立っていたのは、まだ眠そうな希美。
そもそも、幽霊に睡眠なんて必要なのだろうか。謎だ。
「魘されてたけど……大丈夫?」
「あ、うん。嫌な夢見ただけだよ」
心配してくれてありがとう。
そう言って、てきとうに流す。