第1章 真逆なことを並べてみた
杏子が彼氏と仲良さ気に教室に入ってきた。(実際仲いいけど。)
彼女はウチと目が合うと同時に「おはよう空蒼!」と言った。ウチは笑顔で挨拶を返した。杏子は笑顔だった。だが彼氏に見せる顔とは違う、まるで愛想笑いのような笑顔だった…。
瞼が熱くなる。涙が出そう。嫌だ、ウチにもあの顔を見せて。あれ以上、とは言わないから。ねぇ杏子、もっと近くに来て、もっと笑顔を見せて、ウチにだけ話をして、ウチの頭を撫でて、抱きしめて…。
嫌だな、欲張りで束縛したがってるウチなんて、ウチらしくない。きっと杏子もそう思う。…ね、そうでしょ?