第1章 桜ソング【宮地 清志】
宮地先輩に出会って、まだ1年。
まだ、私は何も知らない。
知ってるようで知らないんです。
毎日一緒に帰ってたって一定の距離は崩さない。
でも、想いに反してそのままでいいと制御する自分もいる。
私の我儘で困らせたくない。
宮地先輩に出会って、もう1年。
本当に早かった。
目まぐるしく過ぎた1年は新鮮で、
悔しいことも上手くいかないこともあったけど、
それすらも楽しくて。
まだ一緒に部活がしたいです。
宮地先輩のことを支えたい、
なんて大それたことを言えるほどの器量はまだないけれど、
少しでも力になれることは何だってしたいんです。
早すぎるんです。
もう、卒業なんて。
ただの憧れに似たものだと思っていたこの気持ちが、
本当はそうじゃなかったんだと気づいたのは……
…………いつかなんて分からないけれど。
気づいたら、目で追ってる。
気づいたら、考えてる。
そういうものでしょう?