第3章 告白【ハイキュー/東峰 旭】
俺はあくまでも余裕なふりをして口を開く。
「ごめん、待たせちゃったかな?」
「い、いえ!!そんなことありません!
むしろ私が早く来すぎてしまったというか、その、あの、」
ぶんぶんと首を振り慌てる彼女が可愛くて
小さく笑いがこぼれた。
ゆっくりとそちらへ歩み寄る。
運動部のかけ声
吹奏楽部の練習の音
時計の秒針が動く音
いつもなら気にしないような音でさえも
やけに大きく聞こえるほど静かな教室。
「そ、それで、お話……なんですけど……」
視線をさ迷わせながら、彼女はゆっくりと話し始めた。
「えっと、その、日向くんに教科書を返しに体育館に行ったときから、あ、東峰先輩のことが気になってて、それで……それで、それからは先輩に会いたくて、体育館まで行って、先輩が話しかけてくれるの、すごくすごく嬉しくて……」
小さな体を強ばらせ、首も耳も真っ赤にして、
必死に言葉を紡ぐ姿がどうしようもなく愛おしい。
「わ、私は、清水先輩みたいに美人さんじゃないし、ちびだし、ちんちくりんなんですけど、でも、でも……」
唇を噛み締めて俯き、スカートの裾をぎゅっと握り締めたかと思うと、ばっと顔を上げた彼女と目が合う。
「先輩のことが……好きなんです……っ」
今にも泣き出してしまいそうなほど震えた声でそう言った。
もちろん、期待はしていた。
それなのに、いろんな感情が混ざってうまく喋れない。
時間が止まった気さえした。
「お、俺も……俺も好きです。……鈴木さんのこと」
情けなく震えて掠れた声。
本当はもっとかっこいい言葉を返したかったのに、
口から出たのはありきたりなものだった。