第3章 告白【ハイキュー/東峰 旭】
大会が近いという吹奏楽部が体育館を使用することになり、
簡単なミーティングだけで解散になったとある火曜日。
大地とスガには忘れ物をしたと言って先に帰ってもらい、
俺は一人自分の教室へ向かっていた。
制服の右ポケットでかさりと音を立てたのは
朝練の前に日向から渡された小さな手紙。
“お話したいことがあります。
今日の放課後、3年3組の教室で待っています。”
小さくて可愛らしい文字で書かれたメッセージ。
高校男子となればこっそり中身を見たくなるだろうに、
日向は内容を読まずに、さらに詮索せずに渡してくれた。
もしこれが月島だったら……想像するだけでゾッとする。
“放課後” “話したいこと”
俺だってそこまで鈍感じゃない。
これは、期待してもいいのだろうか。
教室に前につき、僅かに開いているドアから中をうかがうと
窓の外をじっと見る彼女の後ろ姿が見える。
少し窓を開けているのか、
肩までの髪がふわふわと揺れていた。
試合前と同じくらいうるさい心臓を誤魔化すように
一度大きく深呼吸。
ドアに伸ばした自分の指先が微かに震えるのを見て苦笑してから、
建て付けの悪いドアをガラガラと横にひいた。
その音にびくりと肩を震わせ、恐る恐る振り返る彼女。