第2章 さよならも言えずに【火神 大我】
あいつが死んだと知ってから2週間が過ぎた。
あの日から2週間。
冬休みが始まる前となんら変わりない日常があった。
いつも通り授業はだるくて、
いつも通り二時間目の後に早弁して、
いつも通り昼飯は黒子と食べて、
いつも通り睡魔と戦いながら午後の授業を受けて、
いつも通り全力で部活をして、
いつも通り通学路を歩く。
あの日から2週間。
オレの中で変わったことがいくつかあった。
授業中、うるさいと注意されることがなくなった。
惣菜パンばかりの袋の中からシュガーデニッシュがなくなった。
昼飯を食べながら、クラスの女子と楽しそうに話すあいつの声が
きこえなくなった。
授業中眠って怒られるのは、オレひとりになった
部活中、先輩に注意されることが増えた。
部活終了後、身長に合わないサイズのラケットバックを背負った
あいつが待っていることがなくなった。
こんなにも変わったことばかりなのに、
無情にも時間はいつも通りに流れていく。