第2章 さよならも言えずに【火神 大我】
三時間目は化学。
グループ活動が多いこの時間。
オレとあいつと黒子、それからもうひとりの女子のグループ。
その女子は鈴木と仲がいいのか、
毎回グループ学習の課題から話がそれていき
男子には到底わからないワードばかりで会話をしていた。
そこに黒子が話し合わなければならないテーマをぼそりと言って、
女子二人がごめんごめんと言いながら話し合いを再開する。
あいつは机に突っ伏しているオレの頭をノートでぺしりと叩き
「火神も意見だして!」なんて言うくせに、
その数分後にはまた話を脱線させていて。
黒子がため息混じりにプリントをまとめて、
あいつにジュースをおごってもらう約束を取り付けていたっけ。
考えていると、前から回ってきたプリント。
どうやら今日はグループ学習ではないらしい。
先生が枚数を間違えたのか、
となりの机には一枚のプリントがぽつりと置かれていた。
そっか、あいつ、もういねぇんだ。