第4章 確信
「今の地球は、動物達にとっていい環境とは言えない......
いつか人間だって滅びるかもしれない......」
「っ.....」
「特に狼にとって森は自分の住処そのもの......
森林伐採が続けば、いつかは潰されてしまう......
そうなると、どうなるかわかるだろ?」
「っあぁ......住むところが、なくなるんだろ?」
「森には動物にとってのエサがある、
でも森が無くなればエサを求め人間の地に降り立つ。よく聞く話だろ?」
「あぁ......」
(ニュースでも、たまにやってるしな......)
「俺のようにここにいる人狼達の先祖がエサを求めこの地に降り立ったんだろな。
俺はその子孫にあたるから、今人間の世界にいるんだろう......。」
「......。」
「でも俺は、狼より遥かに人間に近いんだろうな......
狼は、人間を嫌うからな......」
「......人間が、狼達の住処を奪ったから?」
「あぁ、それもあるだろうけど...昔からの因縁も関係していると思う......」
「なら、無理もねえのか......」
「とにかく人間には激しい感情を持っている。特に、森に住んでいる狼はな。」
「なら、ユリはどうなんだ?」
「彼女は、元々森から来たんじゃないか?
それで、東京っていう大都会に迷い込んで、お前と出会った......」
「確かにあの時のユリ、かなりふらついていた......」
「お前らが出会った日、丁度ニカが見ていたニュース、
何だったかって覚えているか?」
「っ確か...八王子周辺の山で何かの動物に人が襲われたって......っまさか!?」
「その事件に、ユリちゃんが関係しているかもしれない......」
「っ......」
(ユリが、人を噛み殺したって事なのか......?)
「あとさ、これもずっと黙っていたことなんだけどよ......」
「っ何だよ今度は......」
「5年前にも、似たような事件もあったって話していただろ?」
「タマが、言っていたな......」
「あの事件......」
「......。」