第4章 確信
「......少なくとも、覚醒前の出来事は忘れる。
お前のこともな......」
「っ!?」
「でもあくまで可能性だ。絶対そうなるとは限らない。
それにユリちゃんはまだ幼いしな......。」
「っだよな......ユリがまだ姫って確信が、
あるわけじゃねぇしな......。」
「でも、王族に関わらず覚醒はするよ。」
「ぇ......」
「俺が今話したのは、王族として自覚を持つための覚醒。
人狼本来の姿は狼そのものだ。」
「......なら、お前も狼になるのか?」
「さっきも話したけど、俺は人間の血が濃い。
だから狼になれるのは稀だ。余程感情が高ぶらなければなれない......」
「......。」
「人狼の血が強ければ強いほど、自制できなくなる。特に、満月の夜はな......」
「だからあの時、ユリは耳と尻尾を?」
「あぁ。でも本来は狼そのものだから、完全な覚醒とはいかないだろうな......
でも彼女も、感情が高ぶれば狼に豹変する。
お前に...危害が及べば......」
「俺に......?」
「今のユリちゃんにとって一番大事なのは、お前"だけ"だ。
お前に何かが起きれば、"本来の姿"に覚醒するだろうな......」
「っユリが......」
コクッ
「それに狼に覚醒すれば、一時的に記憶を失う。
我を忘れ、血に飢えるバケモノに......」
「っ......」
「でもそんな事はほとんど起きないはずだ、心配しなくてもいい。
仮にユリちゃんが姫だとして...覚醒するなら大分先のことだろうしな......」
「っでも......いつかは覚醒するかもしれないんだろ?」
「あぁ、でも8割は姫って可能性がある......」
「8割って、ほとんどじゃん......」
「でも、森林破壊...温暖化...地球環境はどんどん悪くなっている......
そのせいで、日本に生息する狼も大幅に減った......。」
「っ......人間の、せいか......」
(俺達、人間が......)