第3章 異変
そして狼とふれあい時間は終わった。
だがユリは寂しげに檻の中を見ていた......。
「ユリ......」
(『お前、本当は心当たりあるんじゃないか?』
『......それは、自分でよく考えな。』
"心当たり"..."心当たり"...
『...狼が嫌い、なの?』
『なんかユリちゃん、"恋する乙女"って感じの
視線を送ってるように見える(笑)』←
『何か、親近感がわくのかな?』
『怖くない、なの。』
『ユリちゃん狼と仲良くなっちゃったよ(苦笑)』
ユリの狼に対する感情......
デカい狼を前にしても動じない......
ユリは......狼に対して特別な感情を抱いている?
.....っ!)
「っまさか......」
「ミツ、いきなり顔色変えてどうしたの?」
二階堂が心配そうに覗き込む。
「っどうせ狼にビビってたんじゃね?(笑)」←
二階堂とは対照的に宏光をからかう裕太。
「......。」
(そう言えば藤ヶ谷も......
『お前はさ...狼に対してどんなイメージを持ってる?』
『......所詮、人間からしたら......
ほとんど狼のイメージはそんなもんだろうな。』
『"ホンモノ"の狼の見たらまるで
"化け物"のように人間は扱う......。』
ユリと同じように、狼に特別な感情を抱いているのか?
っじゃあ......昨日の夜、見たユリは......
『なっ......ユリ!?』
『......嘘...だ、ろ......?』
頭に生えたでっかい耳......
俺の気配に気づいて俺の方を振り返った時の紅い目......
そう言えば.....なんとなくだけど、
狼のような大きい尻尾もあるように見えた......。
それに、今までのユリの不可解な出来事......