第3章 異変
「っユリ!」
咄嗟にユリを引っ張り狼から離れさせていた。
「ぱ、ぱ......?」
そんな俺をユリは目を見開きながらじっと見ていた。
「ここは危ないから......もう外に出よう......」
いくら何でも、あの光景は子供にとっては危険だ。
いや、大人でも危険だろう......
けどユリは......
「......嫌、なの。」
「っユリ!?」
嫌ってお前......
ユリは宏光の手を振り払い、再び狼の元に行く。
そしてユリは狼を撫で始める。
「......っユリ......」
(ユリ、一体どうしちまったんだよ......
狼と会ってから、変だよ......)
「......お前、本当は心当たりあるんじゃないか?」
「っ藤ヶ谷......心当たりって......」
「......それは、自分でよく考えな。」
「っ何だよそれ......」
「......。」
太輔は宏光の問いには答えず、彼もまた狼の元へ歩き出した。
「っおい藤ヶ谷!」
「......お前は、賢い子なんだな......」
太輔は狼の子を撫でながら呟く。
「クゥゥン...」
そしてその狼は撫でていた太輔の手を舐め始める。
「......。」
特に動じもしない太輔......
「っ......」
(藤ヶ谷まで......一体どうしちまったんだよ......)
「「「......」」
他のメンバーも不思議そうにユリと太輔を見ていた。