第2章 パパと娘
「その女の子さ...季節が冬だってぇのにノースリーブの
ワンピース着てんだよ......
それでセーターとかを着せたほうがいいと思ったんだけど、
脱がすわけにはいかねぇだろ?」
「つまり、服を脱がせたいけど脱がせないってこと?」
「そう.....どうすりゃあいい?」
「どうすりゃあいいって聞かれても......
何、その女の子寝てるの?」
「ああ、俺の前でいきなり倒れて、
それきり目を覚まさねぇんだよ......。
できるだけ早く病院に行かせたいし......。」
「病院って...じゃあその子、衰弱してるってことか?」
「あぁ......。」
「......別に上から着せればいいだろ?」
「え゜!?」
やべ......、その手があったか......。
よく考えればそうした方が効率的だ。
下手に脱がして、
余計体調とかが悪くなったらやばいし......
「お前気づかなかったのか......(汗)」
「すまん......。」
「まぁそれだけ心配してんだったら仕方ねぇな......
とにかくその子を早く病院に連れてけよ?」
「分かった、サンキュー!」
「おう。」
俺は電話を切り、クローゼットからセーターを出す。
「ちょっとでけぇけど、しばらく我慢しろよ?」
俺は少女をゆっくり起こす。
「...ん...」
すると少女がゆっくりと目を開けた......。
「悪い、起こしちまったな......。気分はどうだ?」
「......。」
少女は黙って俺を見てる......。
まぁ、目の前に知らない男がいるんだから
仕方ねぇと思うけど......。
「......寒くねぇか?」
「......。」
少女は表情ひとつ変えず、何も喋らない。
ただ俺を見てるだけ。
「君、喋れないの?」
「......だ、れ?」
俺が少女に声をかけると、少女はやっと口を開く。
「俺は、北山宏光。君の名前は?」
「......ユリ。」
「ユリちゃんか......ユリちゃんはいくつ?」
「......わからない。」
え、わからない......?