第3章 異変
「ユリっ!?」
後ろからユリの小さなうめき声が聞こえ、
ユリの方へ振り替える。
「痛い、なの......。」
指を見てみるとユリは人差し指を少し切っていた。
どうやらジャガイモの皮を剥く際にやってしまったらしい。
(あちゃぁ......
ピューラー出しといたほうが良かったかな......。)
「......舐めれば大丈夫、なの。」
「ちょちょちょっ!あんまり舐めない方がいいぞっ!?」
「......?
前にもパパにやった、なの......。」
あー......一昨日そんな事があったな...じゃなくて!
「いいから!今救急箱とってくるから、舐めるなよ!」
「......。」
「舐めるなよ?」
「わかった、なの......。」
よし、素直でよろしい。←
さて救急箱救急箱......
向こうの戸棚にある救急箱を取りに行く俺。
「確かここに......あったあった!」
救急箱を取り出しユリのところに戻る。
「ユリ、指舐めてないだろうな?」
「ん......水で洗った、なの」
「よしよし、じゃあ指見せて?」
「わかった、なの。」
人差し指を前に出すユリ。
水で洗ったとはいえ、少し出血が多い......。
「うわぁ......これは結構痛そうだな......。」
痛々しくも思いながら取りあえずは
止血をしないといけないわけでガーゼを
ユリの指に包み込むように巻く。
(動脈は切っていないから、
しばらく押さえていたら大丈夫かな......。)
それから1分くらいで血は止まった。
「よし、あとは消毒して絆創膏貼るだけだな。」
救急箱から消毒液と絆創膏を取り出す。
「大丈夫、なの。」
「いやいや...あれは少し酷かったから絆創膏は
貼っておいた方がいいぞ。」
「......治った、なの。」
「治ったって、さっき怪我したばっかりだろ?(笑)」
「傷......なくなってる、なの。」
俺はユリの指先を見てみる。
「......え?」