第3章 異変
「ユリ、
今日は俺が作るから着替えてテレビでも見てな?」
「......ユリが作る、なの。」
ユリは頭を横に振り、少し睨む形で俺を見てくる。
(いやいや!あの持ち方はアカンでしょ......。)
「作るって言っても......何作るんだよ......。」
「肉じゃが、なの。昨日ワッターさんが作ってたの。」
あぁ~......ユリ、
横尾さんの肉じゃがいっぱい食ってたもんな......(苦笑)
確かにまな板にある野菜を見ると
ニンジンやジャガイモがあった。
「でも詳しい作り方はわかんねぇだろ?」
「......。」
黙り込むユリ。
(明らかにちゃんとした作り方わかってないな......(汗))
「......わかんない、なの。」
「ほらな(苦笑)
じゃあ顔洗ったら俺が作るから着替えて待ってな?」
「......野菜切りたい、なの。」
「野菜......切りたいの?」
(あの持ち方じゃちょっと厳しいぞ......(汗))
ユリは野菜だけでも切りたいらしい。
「野菜、切るの......。」
この感じだと切らせてもらうまで粘るな(苦笑)
「わかったわかった!
じゃあ俺が持ち方教えるからちゃんと真似しろよ?」
「ん......。」
そして俺もキッチンに行く。
「いいか?包丁は......。」
ユリに正しい持ち方をさせるため、
直接持たせながら教える。
「そうそう!そんな感じで持って切るんだ。」
(にしても、ユリの手ちっちぇな......
こんなんで指切られたら多分俺......
すげぇテンパるな(汗))←
「わかったなの。」
「じゃあゆっくりでいいから切ってみ?」
「ん......。」
食器棚から野菜を入れる器を取り出そうと
少し目を離したとき......
「っ......痛い、なの......。」
後ろから小さなうめき声が聞こえた......
「ユリっ!?」