第21章 変わらない想い
「ユリね......結婚するの......」
「っ......!?」
“結婚する”......まさかユリの言葉から“結婚”っていう言葉が出るなんて、
夢にも思わなかった。
「っ結婚って......お前まだ16だろ!?」
「白狼は、17歳の誕生日を迎えるのと同時に結婚することができるの......だから、
ユリも結婚するの......」
「っお前が、決めたわけじゃないんだよな......?」
「父上が決めたの......次の、子孫を残すために......」
「っそんな......」
そんな子孫を残すために結婚するなんて動物の世界じゃ当たり前のことだ。
でもユリは人間に換算するとまだ高校生......
法律で定められているとはいえほとんど考えられないことだ。
「同じ白狼の、サクヤと結婚するの......」
白狼は全狼族の王であり統治する者、今現役である親父さんが死ねば
次はユリが女王となる、そして次の代に受け継がせるために子孫を残す......
「っ......」
「サクヤは、四天山に住む第一王子なの。」
「っ同じ白狼でも、地位とか違うのか......?」
_コクッ「白桜山に住む白狼が、一番偉いの。」
「そっか......」
(つまり箱入り息子と結婚ってわけか......)
「......。」
ユリは説明したあと下に顔を俯く。
「......ユリ、「明日にはサクヤが迎えに来るの。」...っ」
「だから、明日はサクヤと一緒に帰るの......」
「っユリ......」
今のユリは、凄く悲しそうだ......。
「サクヤは優しいの......でも結婚は......嫌なの。」
好きでもない人と結婚、それは人間だけじゃなくて人狼も同じなんだ......
「......。」
「だからパパ......ぎゅっとしてh..“ぎゅっ...”......」
宏光は何も言わず、ユリを抱きしめた......。