第21章 変わらない想い
「っユリ......」
「パパ泣いてる......」
ユリは宏光の頬をなでるよう触れに親指で涙を拭った。
「っせっかく再会したのに、泣いてわりぃ......でもユリ、
お前森を抜け出してきて大丈夫なのか?」
「父上から......許可をもらったの。」
「っそうか......」
親父さんには、感謝しきれないな......
「ユリ......パパのこと“思い出した”の。」
思い出した......
つまりそれは、今までユリは記憶を失っていたということ......。
「ネックレス......これが何なのか、わからなかったの。」
ユリは首にかけているネックレスを俺の前に見せる。
「でも、アルバムを見て思い出したの......」
「すぐ、思い出せたのか?」
「ううん、戻るまで......少し掛かったの。
ずっと、アルバムを森の精達に隠されていたから......」
「なんでまた、そんなこと......」
「修行の為なの。
その為には、そうするしかなかった......って番人が言っていたの。」
「森の番人が、隠してたんだ......」
「でも、ネックレスはずっとそのままだったの......」
「っじゃあ、途中まで俺が森に来ていたのは......」
「わかってたの。苺のことも......」
「っ......じゃあ!」
「いつもありがとう、なの......苺、凄く美味しかったの(微笑)」
「っユリ......」
途中で辞めてしまったとはいえユリは苺を食べていてくれたんだ......
「でも、途中で記憶が全部なくなって......
苺が誰からなのかわからなかったの......」
「そうか......」
「苺は、森の精がユリのもとまで運んだくれたの。
でも......誰からなのかは教えてくれなかったの......」
「っでもこうして思い出してくれたんだ.....それだけでも、俺は嬉しいよ(微笑)」
「パパ......」
今ユリは目の前にいる......それだけでも、嬉しかった。