第21章 変わらない想い
宏光side
タクシーで大通公園まで行き、車を降りた。
この先に時計台がある......
「っユリ......」
俺は急いで時計台に向かって走り出した。
まさかメンバーも後から追いかけてくるなんて......
俺は知る由もなかった(苦笑)
__札幌市時計台
札幌で一番有名だと言われてもおかしくない定番の観光スポット。
人もそれなりにいるためなかなかユリを見つけられないでいた。
「っユリ......どこだ?」
やっぱり、藤ヶ谷の言ったとおりあれは幻覚だったのか......?
「っクソ......」
少し苛立ちを覚えながら再びユリを探した。
しばらく探していると......
「......パパ、」
「っ......!」
人を掻き分けていると目の前から声が聞こえた。
人々が歩く中、ひとりの少女はじっと立っていた......そう、
そこに立っていたのは......
「っユリ!」
「......。」
別れから5年の月日を得て一回り成長したユリの姿だ......。
俺は人を掻き分けユリの元に走る。
今度は背を向けることなく、じっと俺を見ていた。
「っユリ......」_ぎゅっ...
手が届く範囲まで来た俺はユリを引き寄せ抱きしめた。
「パパ......」
「っユリ......ずっと、ずっと会いたかった......」
「ユリも、会いたかったの......」
抱きしめるユリの身体は大分大きくなっていた。
身長も160cm以上にまで成長していた。
こんなに......成長してたんだ......
俺の目から涙が流れていた。