第20章 また出会う日まで...
「っ......」
「だから、あのユリは本物なんだ......」
「っ......」
藤ヶ谷はゆっくりと俺から手を離した。
「ユリ、
時計台のとこで待ってるんだ......」
ユリが伝えた『待ってる。』......恐らくそれは札幌市時計台のところだ。
ユリとメンバー達で北海道に来た時、ユリは時計台が気に入っていた。
手掛かりといえばそれだけ......。
「だから行ってくる......お前らは先にホテルへ帰ってろ......」
「「「......。」」」
既に私服に着替えていた俺はメガネと帽子をかけ、楽屋を出ていく。
もし本当に来ているなら......
恐らくユリはこの地にいる限り少ない時間を与えられているはずだ。
親父さんだって森の反対押し切ってまでわざわざ東京に来た。
ユリも、ほぼ反対を押し切って来たに違いない......
そう考えると時間がない......
早く行かねぇと......!
時計台まではだいぶ距離がある、だから俺はタクシーを拾い時計台まで行くことにした。
「ユリ......」
早くユリに会いたいという思いを抱き俺は時計台に向かった。