第20章 また出会う日まで...
__初日のコンサートが終わり...
途中ライブを放り投げる行為をした俺は
あの後プロデューサーやスタッフ達にこっぴどく叱られた。
そして楽屋に戻ると一気に視線が俺に送られてきた。
「っミツ......今日はどうしたんだよ?
いきなりマイク落としたと思ったら急に、
ユリちゃんの名前を出すなんて......」
裕太は心配そうに宏光を見る。
「ユリが、いたんだよ......」
「っ何i..「何馬鹿なことを言っているんだよ......」...っガヤ......」
「っ藤g..“ガシッ!”......っ!」
「っガヤ!」
藤ヶ谷は俺の胸倉を掴んできた。
掴んだ手の力は徐々に強くなっていった......。
「北山お前......」
藤ヶ谷の顔に再び怒りの表情が伺えてきた。
当然だ、コイツはメンバーの中でも一番プロ意識が高いといっても過言ではない。
そんな藤ヶ谷が、私情で途中放棄した俺に怒りを帯びることは当然だ。
せっかく来てくれたファンにも、戸惑いを見せてしまったのだから......
「お前やっぱり気が狂ったのか!?
途中で彼女の幻覚を見て、コンサート放り投げるなんてよ......!」
「っ途中コンサートを放り投げたことは、謝る......っでも!
本当にユリがいたんだよ......ユリと、約束したんだ。
ライブが終わったら会うって......!」
「っなに夢見たこと言ってんだよ!
ユリちゃんがここにいるはずねぇだろ!!
俺等はとっくに復帰できた......なのに...なのにお前は!
いつまでも過去に囚われやがって......」
感情を露わにする藤ヶ谷の目には涙が浮かんでいた。
「あれは幻覚なんかじゃねぇんだよ!
......ユリ、すげぇ成長していたよ......
身長も伸びて、すっかり大人びていた......」
「っ......」
「っ仮に幻覚だとして!なんであそこで成長したユリが出てきたんだよ!?
今まで、コンサートの途中で幻覚が見えたことなんてねぇんだよ......」
「っ......」