第19章 別れ
「っぅ...っ......うぅ......」
それから俺はずっと泣いていた......
「北山......そろそろ山を下りよう。
日も暮れてきた......」
「っ......ぅぁ...ヒック...ヒック......」
現実を受け入れられない俺は子供のように座り込みすすり泣いていた。
それにさすがの藤ヶ谷も見かねたのか......
「っいい加減にしろよ北山!」
「っ......!」
「っもう......ユリちゃんは森へ帰ったんだ。
ユリちゃんは......っ、もういねぇんだよ......」
そう......
ユリはもういない......でも、
「“現実”を受け入れろ......
悲しいのは、お前だけじゃねぇんだよ......」
“現実を受け入れる”
俺は現実を受け入れないといけない......でも、
今の俺の精神じゃ受け入れられる気もなかった......。
でも日も暮れてきているため
バスの時間も考えるとそろそろ山を下らないとやばい。
「北山......なんでユリちゃんがあんなに淡々ってしてたかわかるか?」
「へぇ?」
俺はつい間抜けな声を出してしまった。
「ユリちゃんだって、あの時泣きたかったと思うよ......でも、
彼女は俺らに、お前に......
余計な心配をかけないようにあんなにサッパとしていたんだ......」
「......。」
「俺らに、余計な未練が残らないように......」
「っ......」
「ユリちゃん、必死に感情を抑えていたと思うよ......
心を、鬼にして......」
「っだからここでお前がへこたれていても......
ユリちゃんの好意は無駄になっちまうんだよ......!」
「っ......」