第19章 別れ
「北山......早く山を下るぞ。
ユリちゃんにも、言われただろ?」
「......っあぁ。」
俺は藤ヶ谷に支えてもらいながら立ち上がる。
そして俺らは山を下ることにした。
「......。」
山を降り続けるが俺の足は重く思うように進まいない。
「北山......しっかりしろ。」
「わかってるよ......」
重い足取りのまま下山、白桜山入り口付近まで戻ってきた。
「あとはバス停に行くだけだな......みんな、疲れてねぇか?」
「大丈夫だよガヤ......心が、ちょっと重いけど......」
裕太は下にうつむきながらか細い声で呟く。
「......北山は?」
「大丈夫だ......」
「......そうか、」
「バスが来るまでそう長くねぇだろ?
早く行こう......」
俺は何かを忘れるように他のメンバーより先に歩き出した。
なにかしていないと......
またユリのことを思い出しちゃうから......
その時...
『ウォォォォォォン......!』
「っ......!」
バス停に向かおうとした時、微かに遠吠えが聞こえてきた。
おそらく狼......
「っこの声......」
ユリのお父さんの声?
いや違う......この声は......
『ウォォォォォォン......ウォォォォォォン......!』
「っユリ......!」
ユリの声だ......。
お父さんと違ってまだか弱い感じに見受けられる遠吠え......
「ユリ......」
『パパ、
笑って......笑うの......』
俺にはそう言っているように聞こえてきた......だから俺は、
「っ......(微笑)」
後ろを振り返り山の頂上に向かって笑顔を作った......。
これが、今の俺にできることだ。