第19章 別れ
「ただいま......なの。」
ある場所まで来てユリは『ただいま』と言う。
それと同時に森が更にざわめき始めた。
「っなんか急に風が強くなったね......」
タマは森を見渡しながら呟いた。
確かに、風が一段と強くなった。
「......来るの。」
「「「......?」」」
__ぶわぁ!
「「「っ!?」」」
突然、台風といっても等しいくらいの風が吹いた。
「っ......なんだ?」
「森の番人......人には見えないの。」
森の番人......人には見えない、か......
まるでファンタジー小説のようだ......。
『おかえりなさいませ姫様......我ら森の住民は貴女の帰りを
長らくお待ちしておりました。』
強い風が吹いたと思ったら次は木霊のような声が聞こえてきた。
「今帰ったの......もうすぐ、そっちに行くの......」
「っ......」
もうすぐそっちに行く......
それは......
「パパ......みんな......
ここでお別れなの。」
それはユリとの別れ......
「さよなら......」