第19章 別れ
『白桜前、白桜前......』
「ほら、行くぞ北山......」
「ぁ、あぁ......」
藤ヶ谷に声をかけられ我に返った。
「パパ......大丈夫なの?」
「大丈夫だ......お前こそ、酔ったりしてないか?」
「ん......早く行くの。」
「そ、そうだな......」
やっぱり......今ユリはなんとも思っていないの?
さびしくないの?
離れたく思っているのは、俺だけなの?
「っ......」
切ない気持ちのまま、先頭に歩くユリについて行った。
「......。」
太輔はそんな宏光の様子をじっと後ろから見ていた。
太輔side
今、北山の気持ちは自分自身が壊れてしまうくらいに苦しいだろう......
そんな様子は、誰が見ても伺えるもの......
他のメンバーも、それは察している。
けどユリちゃんは......ユリちゃんだけは......
何も感じていないかのようにいつもと変わらない感じだ......
もしかして......
ユリちゃんはあえて普通に接しているの?
俺達に......北山に......
未練が残らないように......