第19章 別れ
俺達は昼食を済ませ、白桜山途中まで向かうバスに乗り込んだ。
「......。」
バスに乗り込んだが、俺はずっとボケっとしていた。
__バスに乗って2時間...
「北山、もう少しで終点だから降りる支度しろ。
それに、ユリちゃんに渡すものもあるんだろ?」
「あ、あぁ......」
(もう、終点なのか......?)
本当に、時間が経つのか早過ぎたよ......
なんでこんな早く時間が早いんだろう......
ちなみに藤ヶ谷が言ったユリに渡すものというのは
アルバム......
この一年間の思い出が詰まったみんなで作った手作りのアルバムだ。
これを、ユリに渡そうと事前にメンバーと計画していた。
ユリが覚醒して今までの記憶が消えたとしても、
このアルバムを見て俺たちを思い出して欲しいという願いを込め、
ひとりずつメッセージも書いた。
宏光はアルバムを手に取った。
しばらく見た後カバンにしまう。
もう少しで終点だ......
近づくにつれて胸が締め付けられる......
その頃のユリはバスの窓から自然溢れる景色を見ていた。
なぁユリ......
今どんな気持ちでいるの?
俺と同じ、胸が苦しい......?
それとも......
自分の故郷に帰ってきて......
『ユリ、パパと離れたくないの......!』
『絶対、忘れないの。』
あの言葉は全部忘れて......
俺のことには目もくれていない?
正直、ユリは感情をあまり表に出さないから
本当の気持ちがわからない......
今、ユリは何を考えてるの?
教えてくれよ......