第16章 現実
「ユリ......
彼と、彼らと共に、
この地で暮らしなさい......。」
「「っ......!?」」
ふたりは驚愕の表情でみる。
「っそれって......」
「まだ......ユリと一緒にいて、いいってことですか......?」
「......あぁ。」
「っユリ......」
まだ、ユリといられるのか......?
「パパ......ユリとずっと一緒、なの?」
「っあ、あぁ......えっと、あの......ありがとうございます!」
宏光は父に向かって深くお辞儀をした。
「っ私は......
“ずっと”とは言ってはいない......」
「ぇ......」
「できることなら、貴方に授けてもいいと思っている......だが、
娘は普通の人狼ではなく王の後継者......
森の王の立場としても、ずっとっというわけにはいかない......」
っそう、そうだよな......
ずっとユリと一緒っていうわけじゃ、ねぇよな......
「......。」
ユリのほうを見てみると、ユリは複雑な表情で俺を見ていた。
「っあの...期間は!
ユリと一緒にいられる時間は、どれくらいなんですか......?」
「見積もって......およそ
“一年”だ。」
一年、か......
長いようで短いな......でも、
一年も与えてくれるなら......