第14章 奇跡を信じるのならば...
これ以上、誰も傷つけるな......
だから、狼にならないでくれ......!)
宏光は心の中で願ったが、その願いはあっさり消されてしまった......。
「っ嘘でしょ......?
ユリちゃん......。」
画面に映るユリはリョウガと同じく狼の姿へと変えていった。
裕太は『信じられない』という目で見ていた。
「っユリ......!」
(っそんな......)
「不謹慎かもしれないけど、ユリちゃんの毛並み...凄く綺麗だね......
まるで虹みたい......」
俊哉が少し見惚れるように呟いた。
「あ、あぁ......」
(あれが、ユリの本当の姿......)
ユリの銀色に輝き虹のような毛並みは画面に美しく映えていた。
「横尾さん、あれってなんていう狼?
図鑑とかでも見たことないよ......」
渉に問う健永。
「わからない......あんな狼、全く見たことないよ......
北山、太輔から貰った書物になんか載っていなかった?」
「んっと......曖昧だけど、どっかに載ってたような......」
(っ肝心なところをド忘れしちまったよ......!
でも、どこかに載っていたはず......)
「......でもあの姿、ユリちゃんが人狼の姫っていうことは頷けるよね......」
「あぁ......っ!」
(あれ......あの狼......)
「ミツ?急にどうしたの?」
高嗣は不思議そうに見た。
「まさかあそこに映ってる狼......」
「ミツ!だからどうしたんだよ!」
「......藤ヶ谷?」