第14章 奇跡を信じるのならば...
「ユリ......」
なんでユリが、いるんだよ......
画面にはまだ狼に変幻していないユリとリョウガの姿があった。
だがふたりの瞳は紅く、耳や尻尾も生えていた......
「同じだ......あの時と......」
「あれが、ふたりの本当の姿......なの?」
初めて人狼の姿を見る健永は驚いた様子で見ていた。
「......違う、あれはまだ仮の姿だ。
本当の姿は、狼そのものなんだ......」
「狼、そのもの......」
「全部、太輔に聞いたの?」
「あぁ......ちょっと、藤ヶ谷から貰った本も参考にな......」
「本?」
「藤ヶ谷の死んだじいちゃんがくれた古い書物、俺に...譲ってくれたんだ......」
「そうか......」
「ユリちゃんは、確か純血種っていう人狼なんだよね?
ガヤや御子柴さんが言ってた......」
「あぁ、しかも人狼族の姫なんだとよ......」
「姫、か......」
渉は再び画面に映るユリに視線を向ける。
ユリside
「さぁ姫ちゃんと王子くん、早く君達も狼になって人間を狩ろうぜ♪」
新次は身体中を血にこびり付かせながらふたりを誘っていた。
_コクッ「人間、殺す......!」
リョウガは早速狼の身体へ変幻させていった。
「グルルルル......」
狼の姿へと変わったリョウガ、その姿は血に飢えた獣そのものだった。
「......。」
その一方でユリは狼に変幻しようとしないでいた。
「......どーしたんだよ姫ちゃん!君はもう俺達の力で自由に狼に変幻できるんだ!
姫ちゃんも、早く人間を殺していいんだよ?(妖笑)」
「......_コク...わかったの。」
しばらくの間を作り、ユリは美しい毛並みを持つ白狼への姿へと変幻させた。
「う~ん♪やっぱり白狼は美しいねぇ......さすが、
我らの王だ......!」