第11章 新たなる魔の手...
「っなんでお前がここに......」
宏光も形相を変えながら楓を見た。
「部屋を覗いてみれば二人がいなかったの......
それでまさかとは思っていたけど......」
「「っ......」」
ふたりは後退りをし、ユリは咄嗟に宏光の袖を掴んだ。
「ぇ......?」
「あの人怖いの、ユリ...嫌い......」
「さぁお二人共......部屋に戻りますよ。」
「っもう少しここに居させてよ!何か思い出せるかも知れないんだ!」
「黙りなさい!所長にこのことを報告させてもらいますからね。」
「「っ......」」
「っなんでそんな強引にユリ達を連れ出そうとすんだよ!」
「所長にも言われているのよ。この子達を、貴方達に会わせないようにとね。」
「っ俺らといると......記憶が戻る、からかよ......」
「そうね、ここでまた記憶を戻されたら困るの。
......それで私からひとつ、忠告だけしとくわ。」
「......。」
「もう二度とこの子達には一切関わらないで。
......さぁ、行きますよ。」__グイッ!
「「っ!」」
楓はふたりの腕を引っ張り連れて行こうとする。
「っおい待てよ!」
「っや!放して!」
「放してよ!戻りたくないっ!」
ふたりは一生懸命に抵抗する。
「っ!」
子供といってもふたりは人狼、
ましてや女性である楓は二人分の腕力を抑えるのはキツいものだった。
「っいい加減にしなさい!」__ぱちんっ!ぱちんっ!
「「っ......!」」
一時的に二人の腕を離した楓は手のひらで二人の頬を1回ずつ殴った。
「「「っ......!?」」」
その光景に宏光達は目を見開いた。
そしてユリとリョウガはその場で尻餅をついてしまった。
「ほんと子供って世話が焼けるから嫌いなのよ......
こっちが必死だっていうのに
わがままで、気まぐれで......」