第10章 失われた記憶の真相...
「自分の人形にしたいだけだろ!!」
「うるさい!!」
「さっきからずっと、藤ヶ谷のことをなりそこないって言ってるけどよ!
俺からしたら、
アンタの方がなりそこないだよ!!」
「っ北山......」
「藤ヶ谷が狼のなりそこないって言うなら......
てめぇは父親のなりそこないだろ......」
「っ黙れ!俺は、ユリの父親だ!
なぜ貴様は......そんな風にユリを分かったように言う!!
たった数日だけだというのに......ユリの家族ヅラをするな!」
「時間とかなんて関係ねぇよ!!
......お前は、
お前はユリが笑ったとこ......見たことあんのか?」
「は?何を言っている......ユリは元から笑わない子だ。
拾って育ててきた時からずっとだ......」
「......俺は見たことあるよ、
『パパ......大丈夫、なの?』
『ん、あぁ...元に戻ったから大丈夫。』
『よかった...なの(微笑)』
あの時1回だけ、少しだけ笑ったんだ......
初めて、ユリの笑った顔を見たんだ......」
「確かに、ユリちゃんの笑った顔って見たことないね......
俺がアメをあげて、喜んでいても、
それを顔に出すことなんてなかった......」
裕太が偶然ポケットに入れていたアメを見ながら呟く。
「っそんなことが、あるか!」
「ユリは笑わない子なんじゃない!ただ心から笑えねぇだけなんだよ!!」
「っ......!」
(ユリは笑いたいけど笑えない......あの時見せたはにかんだ笑顔も、
どことなくぎこちない感じだった......
でも本当に笑える日も来るんじゃないかって、
そう思っていた......)