第10章 失われた記憶の真相...
「俺は......どこから来たの?」
「お前は“動物園で生まれた狼”だ......群れの元に帰りたいかい?」
「......。」
リョウガはしばらく間を作って首を横に振った。
「俺は......ユリと父さんの傍にいたい.....だから、大丈夫......」
「そうか(微笑)」
記憶が完全にないとはいえ、彼にとって俺は父親同然の存在、
ユリも一種の兄妹のようなものだ。
リョウガに至って記憶の問題はなさそうだが......問題はユリだ。
あの時の行動......
『っ止めろユリ!......っユリ!!!』
『っ......!』
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『っぁ....ぅぁ...ぅぐ......』
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『っうぁ.....ゃ...ゃ...やぁ......』
『っユリちゃん......もしかして、
北山のこと......思い出しかけているの?』
『っ......!』
『っユリ......藤ヶ谷を、傷つけないでくれた......』
『うっ......』
『ありがとう、ユリ......』
『っ......!』
彼らと顔を合わせれば記憶が戻ってしまう可能性が高い......
特に、
『アンタは、ユリを傷つけるようなことをしたのか?
なら、お前のほうこそ......ユリの家族になる資格ねぇだろ。』
『ユリを連れ戻す。ユリがどんなに拒絶しようが俺は......
俺の声が届くまで諦めねぇよ。
お前には絶対、ユリを渡さねぇよ......』
アイツだけには、会わすわけにはいかない......。