第10章 失われた記憶の真相...
「はぁ、はぁ、はぁ...んぁ......」
森から出た翔は激しく息を荒らしていた。
「ふぇぇ....ぇぇん.....(泣)」
森からは銃声も狼の鳴き声も聞こえてこない......あの後どうなったのかは
翔は分からなかったがなんとなく目星はついていた。
「っ父さん......」
「翔様!」
翔が声を殺し涙を流していると後ろから
研究所の研究員であろう部下が翔の元にやってくる。
その中には翔と同じくらいと思われる一人の少女の姿もあった。
「翔様!所長はどうなされたのですか!?」
「っ楓......父さんはおそらく......」
「っどう、されたんですか......?」
「おそらく......くっ...狼に殺されたと思う......」
「「「っ!?」」」
翔の言葉に周りは漠然となった。
「っそんな......っ翔様、その赤子は?」
「......この子は狼の子、人狼の赤ちゃんだ。」
「っ人狼の!?」
楓は驚きを隠せない様子で赤子を見た。
「あぁ......今は詳しく言えないが純血種の人狼だ。」
「純血種......」
「純血種というのは......滅多にお目にかかれない種族ではありませんか!」
「あぁ......でもこの子はまだ赤子だ。俺が面倒を見る。
この子に余計な手出しはするな。」
「か、翔様本気でございますか!?
子育ては、翔様が思うほど簡単では......「俺が育てる。」
「俺がこの子を......ユリを育てる......
今日から俺が、ユリの父親になる。」