第9章 人狼への目覚め
「北山のこと、思い出しかけているの?」
「っ......!」
ユリは勢いよく顔を上げ目を見開く......。
「っユリ......藤ヶ谷を、傷つけないでくれた......」
「うっ......」
「ありがとう、ユリ......」
「っ......!」
「っミツ......」
(ユリちゃんは、完全に記憶を失っているわけじゃないの?)
「っ......ん..ぐ......っぅあ......」
宏光が声を出すたびに反応するユリ......
そしてユリからは爪や耳などがゆっくりと消えていき戻っていく......
「っぁ......」
元の姿に戻ったユリは太輔の腕の中で
ぐったりと後ろに反りながら目を閉じ気絶してしまった。
「っユリちゃん!」
「っユリ!」
翔はユリの元に急いで走っていく。
「っユリ!......っ無理をするからだ、ユリ......」
「っユリ......」
リョウガも心配そうに涙を浮かべながらユリを見る。
「......。」
そして翔はユリを抱き上げた。
「......お前達、この3人をさっきの4人と同じ所に連れていけ。
ユリは、部屋で休ませる......リョウガ、お前も傍にいてあげなさい。」
コクッ
「......。」
翔はユリを抱いたまま部屋を出ていきリョウガも後についていった。
「っユリちゃん......」
(不安定な状態なのか......それとも......)
「「......。」」
「......さぁ、お前達もこっちへ来てもらおうか。」
「......俺らをどうするつもりだ?殺すのか?」
「それは所長が決めることだ......だがしばらくは牢に入ってもらう......」
「「「......。」」」