第9章 人狼への目覚め
__地下牢
「っミツ!」
「太輔っタマっ!」
「っわりぃ......俺らも、捕まっちまった(苦笑)」
「ううん......っミツ、ユリちゃんは?」
「っ......」
宏光は健永の言葉に首をゆっくりと横に振る。
「っそんな......」
「実はユリちゃん......俺らこと、覚えてないんだ......」
「っえタマ......
それどういう、こt..「そのまんまの意味だよ、宮田......」...っそんな......」
「記憶がない......ってこと?」
「あぁ......でも......」
「でも?......それどういうこと、太輔......」
「ユリちゃんは確かに俺らの記憶がない......けどそれは、
"一時的"に失っていることかもしれないんだ。」
「っそれどういう意味だよ藤ヶ谷......ユリの記憶が一時的って......」
「お前もさっき見ただろ?ユリちゃんのあの様子......
ユリちゃんが俺に向かって爪を向けたとき、お前は大声で叫んだ......」
「っあぁ......」
「あの時からユリちゃんの様子が急変して苦しみ始めた......あれは、
お前の声に反応したんだ......だから、俺を傷つけなかった......」
「っそれって......」
「そう......ユリちゃんは完全に俺らのことを忘れたわけじゃない。
きっと頭の奥の片隅に残っている......お前との記憶がな。」
「っユリ......」
(ユリはまだどこかで俺らのことを覚えている......
だからあんなに苦しそうに迷って、藤ヶ谷のことを傷つけなかったんだ......)
「っじゃあまだ!希望があるってこと?」
高嗣は目を少し輝かせるように言う。
「あぁ......少なくとも、ここの出られたらの話だけどな......
しばらくは、様子見だ。」
「......ユリ、あの後倒れちまったけど...大丈夫かな......」
合鍵のついたネックレスを握り締めながら小さく呟いた。