第9章 人狼への目覚め
「......君、俺をどうするつもりだ?」
「父さんの言うとおりお前を死なない程度に片付けお前ら全員を牢に閉じ込める。
ユリも、お前達に渡さない......俺がユリを守る。」
「父さん......?」
(父さんってアイツの事を言っているのか?
ユリちゃんが、パパと言っているように......)
「混血種でも人間の手には負えない......リョウガ、頼んだよ?」
「御意。」__ザッ!
「っ......!」
リョウガは太輔に向かって一直線、そのスピードは子供が出せる速さではなかった。
「っガヤ避けて!」
「っ......!」
太輔は一直線に向かってくるリョウガをなんとか避けた。
「っ逃げるな!」
「っ......」
(クソッ......これが純血種の力......避けるので精一杯だ!)
それから何度もリョウガから攻撃を仕掛けられる。
そして太輔はそれを避けるだけで精一杯だった。
_ザッ!「......。」
「っ......ぅわ!」
「っ藤ヶ谷!」
太輔はその場で尻餅をついてしまった。
「......どうした?なぜ攻撃をしない......子供だからって、手を出さないのか?」
リョウガは脚で太輔の身体を挟み込むように立ち太輔を見下ろした。
「っ......」
(っ違う......藤ヶ谷は手を出さないんじゃない、
手を出すことができないんだ......)
_フッ「どうした?所詮、そんなものだな。ショーにも及ばない(嘲笑)
ユリ、お前はやっぱり部屋に戻ってなさい。見るほどのものじゃない......」
「いや......リョウガのとこにいる、なの。」
「...好きにしなさい。リョウガも、
ユリが見ている方がやる気が出るだろうからね。」
「......。」
ユリはじっと太輔とリョウガの姿を見続けるのだった。