第7章 本当のパパ?
エレベーターで下まで降り......
「......。」
マンションの入口を出た目の前には二人が会っているカフェ、
丁度窓側には宏光達の姿が見えた。
「パパ、
約束破ってごめんなさい。
またすぐ戻ってくる、なの......」
ユリは複雑そうに見て呟いたあと、すぐに走り出した。
だがその様子を影から見ている人物がいた......。
「マンションを出て左に向かった......裏道から先回りしなさい。」
『了解。』
「......本当に、あの狼は世話が焼けるわ。」
ひとりの女は無線の向こう側の人物に指示をした後、
ユリを後からつけるように追いはじめた。
「なぁ藤ヶ谷......」
「何だ......」
「ユリは、お前が人狼っていう事を分っているのか?」
「いや、きっと解っていない。自分自身が、人狼だという事も......」
丁度その頃、宏光は太輔の話を聞いていた。
「......なら、いつかは思い出すのか?
自分が人狼だっていう事も......」
「その時は、必ず来ると思う......。」
「俺の事も、忘れるのか?」
「......それは彼女次第だ。」
「......。」
だがユリがマンションを出て行ったということはまだ分かっていない。
いなくなったことに気づくのは宏光が帰った後だったのだから......