第2章 パパと娘
数時間後...
ユリは点滴をし終わり、ふらついていた足も今は
もうふらついていない。
「これで大分楽にになっただろう......
後は、精のつくものを食べさせれば普通通りの生活が
出来るはずだ。」
「ありがとうございました!ほら、
ユリもお礼を言いな?」
俺は先生と看護婦さんにお礼の言葉を言い、
ユリにもお礼を言うように勧める。
「......ぁり、がとぅ...ござ...ぃます。」
ユリは言葉を途切れさせながらお礼の言葉を
一生懸命言う感じがした......。
ユリ、喋るの苦手なのかな......?
「......よく、出来ました!」
俺はユリの頭を撫でながら言う。
「......。」
ユリは俺の方を見て無表情のまま目を
パチクリさせている。
「北山さん、いいパパになりそうですね(笑)」
「そうだな(笑)この感じだと、
なかなかの親馬鹿になりそうだ。」
「ちょ、からかわないでくださいよ...
まだ父親って器じゃ......」
「だが、年齢的にはもうパパと呼ばれても
おかしくない歳だろう(笑)」
「それはそう、ですけど......」
まぁ、歳はもう少しで30になるけどさぁ......。
「......ぱ、ぱ?」
「ぱ、パパッ!?」
何かユリにもパパと言われた......。
「そう、今日から彼が君のパパだ(笑)」
「パパ。」
ユリは無表情で俺を『パパ』と呼ぶ。
「お、俺はパパじゃないぞ......!?せめてさぁ......
お兄ちゃんかお兄さんで、良くない......?」
「......パパ。」
ガーン...
「......。」
ユリはまたもや表情を変えず、
俺を『パパ』と呼ぶ......。
俺は2人にSOSを送るが......
「これから頑張ってくださいね(笑)」
「いい事じゃないか、メンバーより一足早く
パパになるんだから(笑)」
2人にも見捨てられた......(泣)
「ぱぱ。」
「だから俺はパパじゃねぇっての......。」