第5章 誘拐?
「二つの...感情?」
コクッ
「一つは、お前と一緒に過ごしたいっていう人間の感情。
二つは、本来の自分の姿...狼として生きる自覚、狼の感情......。」
「人間とオオカミの感情が入り混じっているのか?」
「あぁ......人間で言う、子供から大人になる瞬間ってところかな?」
「子供から大人って......ユリは明らかにまだ小学生くらいだぞ?」
「動物の成長は早い......狼だってそう。
見た目は人間の子供でも、中身は大人になりかけている......」
「っ......」
「特にユリちゃんは純血種の可能性がほとんど......
純血種は混血種に比べて成長が格段に早くなるらしいから、
そんな感情が芽生えてもおかしくねぇんだ......」
「っ...マジ、かよ......」
「......でも今はそんなことより、ユリちゃんを捜し出すことの方が大事だ。」
「っそうだな......今ここで思っても、意味ねぇしな......」
来る前を走らせ数時間、埼玉県内に入った...
「......にしても、お前は何でそんなに人狼の事を知ってんだ?
お前と同じ混血種ならまだしも、純血種の事も詳しくさ......」
「......。」