第5章 誘拐?
「っユリ!」
何でいねぇんだ?またこないだみたいにキッチンにいるのか?
キッチンの方も覗いてみるが、ユリの姿は見えなかった。
どこを捜しても、ユリの姿はなかった......。
「っ......」
(アイツ、外に行ったのか?)
宏光はもう一度外に出てユリを捜すことにした。
「っユリ......どこに行ったんだよ......」
マンションから出たものの、どっちの方を捜せばいいのかわからない。
「ユリが行きそうなところつったって......っまさか昨日の動物園か?」
普通なら歩きで行けるような距離じゃないけど、
ユリなら行く可能性がある......
『なでなで...なでなで、なの。』
『クゥゥン...クゥゥン』
だってあんなに狼と、仲良くしてたんだから......
「とにかくこっちに行ってみるか......」
(ユリの足なら、そう遠くまで行ってないはずだ......)
しばらく走っていると道端にキラリと光る、銀色の小さな物体が落ちていた。
「......なんだ?」
宏光はその物体が気になり、一旦止まり落ちたものを拾おうとする。
「っ......!?」
(っおい、これって......)
落ちていたものを拾おうとした時、宏光は驚きを隠せなかった。
「っこれって......」
落ちていたものとは...
『じゃあユリ、ちょっくら行ってくるから大人しく待ってろよ?』
『ん......』
ユリに合鍵の着いたネックレスを首にかける。
『.....?』
『これは鍵。ドアのところにある穴に挿して回すんだよ。』
『......苺なの。』
『鍵より苺か(苦笑)』
『特に外に出るって事はねぇって思うけど......一応持っておけ!』
『わかった、なの。』
「っ俺がユリに預けた合鍵......」
宏光がユリに預けた合鍵、苺のキーホルダー付きのネックレスだった。