【ONE PIECE】もしもあなたが連れて行ってくれたなら
第6章 旅立ちの時
「……そうか」
おれとキッドには両親がいなかった。だから、ミーウたちのように家族に海に出ることを伝えなければいけない必要もなく……家族と別れるという心の痛みをわかってやることもできなかった。
「さあ、行きましょ」
ミーウはおれたちが用意した船に乗ろうと、階段を上がった。
「……ミーウ」
キッドはミーウの名前を静かに呼んだ。
「どうしたの?」
ミーウはキッドを振り返って、首を傾げた。
「……」
(何をいうつもりなんだ……?)
キッドはミーウを見つめたまま、口をゆっくり開いた。
「……本当にいいんだな」
「……え?」
「アユナも」
「え……?」
ミーウとアユナはとても驚いている。
(……そういうことか……)
おれは心の中で納得した。
「今なら……まだ引き返せる。普通の暮らしがしてェなら……まだ間に合う。家族と離れ離れになりたくねェなら、まだ戻れる」
キッドはミーウとアユナが本当に海賊になりたいのか、ずっと本心がわからなかった。ーーそれはおれも同じだ。もしかしたら、遊び半分でここに来たのかもしれないとずっと思っていた。おれたちと友達にならなかったら、こんな道を選ばないで普通の生活を送っていたのかもしれないとも思っていた。