【ONE PIECE】もしもあなたが連れて行ってくれたなら
第4章 前夜祭
「……なあ、キラー。こんな場でなんだが……真面目な話していいか?」
「何だ?」
ウランはすっと真顔になった。
「……頼みがあるんだ。海に出た時に……海賊なった時に、おれの代わりにやってほしいことがある」
「……何だ?」
ウランはグラスに酒を注ぎ、酒が入っていたボトルをトンッと軽く音を立ててテーブルの上に置いた。
「天竜人を……殺してほしい」
「……」
ーーウランは元天竜人の奴隷だった。世界政府非加盟国の住人だった彼は若い頃に人攫いに遭い、人間屋に売られた。そして、色んな貴族の元を転々とし、最終的に天竜人の奴隷となった。その後、この島に住んでいる“伝説の天竜人”に助けられてこの島にやって来た。
「この島にいる、ほとんどの人がみんなそう思ってる。天竜人を殺してほしい、世界政府を壊してほしい……」
グラスを持つ彼の手が震えている。
ーーこの島の住人は“伝説の天竜人”が助けた元奴隷や孤児、それから自分たちに仕えていた元海兵たちが多くいた。そもそも、“伝説の天竜人”とは普通の天竜人と違い、一般市民や困っている人に必要な物を分け与えたり、奴隷買いをしたりしない種族だ。だから、この島の人々は彼女たちには感謝をしている。しかし……。