【ONE PIECE】もしもあなたが連れて行ってくれたなら
第4章 前夜祭
「キッド! やっと海に出るんだってな! おめでとう!」
「応援してるよ! 頑張りなね!」
「海軍なんかに捕まるなよ〜」
ーーみんな、笑わずにキッドの夢を聞いてくれた。とても楽しみだと言ってくれた。ずっと変わらずに接してくれた。だから、おれとキッドは敢えて旅立つ日を街の人たちに言わなかった。こんなに良い人たちだから、海賊になったおれらと関わりがあったとバレると、迷惑をかけてしまうと思ったから。
「ほらほら、キラーも」
強引にテーブルの近くに置かれた椅子に座らされ、目の前のグラスにお酒を注がれる。
「お、そうだ。ストローがいるな」
近くに座ったおじさんがグラスにストローをさしてくれる。
「……ありがとう」
おれは大人しくお酒を吸って呑む。
「待てよ、キラー。まずは乾杯だろ」
仕事仲間のウランが横の椅子に座って、おれの持っているグラスに自分のグラスを当てる。そして、グラスの中の酒を一気に吞み干す。
「カーッ! やっぱ、酒はいいなー!」
「……お前ら、おれたちのことを祝うついでに酒を呑みたいだけじゃないのか?」
「まあまあ、そんなこと言うなって」
彼はニコニコと機嫌良く笑っている。