【ONE PIECE】もしもあなたが連れて行ってくれたなら
第4章 前夜祭
(……思えば……)
ーーミーウに出会った後から、キッドは劇的に変わった。大人を信用できず、盗みを繰り返して生活をしていたキッドが……。
コンコンッ
そんなことを思い出していると、家の扉をノックする音が聞こえた。
「ん? 誰だ? こんな時間に……」
おれは座っていた2段ベッドの上から降りて、ドアの前へと歩いて行った。そして、家のドアを開ける。
「キッド、キラー」
そこには、お世話になった街の人たちがいた。
「おばさん……おじさん……」
「お前ら……」
おれの後ろから、キッドも外を見る。
「ほら、お前ら出て来いよ」
ずっと一緒に仕事をして、いろんなことを教えてくれたアスラがおれの腕を引っ張る。
「お、おい……これ……」
「お前ら、明日海へ出るんだろ?」
「!」
その言葉に驚いて、おれはアスラの顔を見た。
「どうしてそれを……」
「イリアムが言ってたんだ。キッドとキラーが船が欲しいって言ったから作ったってな。みんなに自慢してたんだ。海賊王の乗る船をおれは作ったんだって」
「……」
おれは額に手を当てた。
(あいつ……)
ーー誰にも言わないって約束したのに……。