【ONE PIECE】もしもあなたが連れて行ってくれたなら
第4章 前夜祭
「キッド、準備できたか?」
「あァ」
アユナとミーウと別れ、おれとキッドは街から少しだけ離れた場所にある自分たちの家に戻ると、旅に出るための荷物を確認していた。
「キラー、船はどうなった?」
「イリアムが北の港に用意してくれてる」
「そうか」
イリアムは近くに住んでいる船大工の優しい親父さんだ。おれたちが旅立つための船を作ってくれた。ーーその親父さんは生まれた時から親がいない孤児だったおれたちの面倒をよく見てくれた。
キッドはふと、窓の外を見た。
「月が……綺麗だな」
今日はちょうど満月だった。
おれもキッドと同じように窓の外を見た。
「……なァ、キラー」
名前を呼ばれて、おれはキッドを見た。
「……いよいよだな」
「……ああ」
ーーずっと語っていたキッドの夢。その始まりが明日に迫っている。
「……」
大きな満月の下には、大楠のある丘が見える。
「おれは……あそこでミーウに出会ったんだ」
ーー10年前のある日、キッドは1人の少女と出会った。おれと喧嘩をした日のことだった。彼女は1人で寂しそうに海を見ていたとキッドは言っていた。