【ONE PIECE】もしもあなたが連れて行ってくれたなら
第12章 花言葉の想い
ーきっと、今の自分は凄い表情をしているだろう。こんな顔で船に帰ったら、みんなに何かあったのかと心配をかけてしまうかもしれない。もう少し頭の中のぐるぐるがやんだら、戻ろう……。
「アユナ……」
アユナは後ろから聞こえた声に振り返ると、其処には会いたくて、会いたくなかったひとがいた。
「キラー……? なんで……?」
アユナは顔を背けてそっけなく聞いた。
(何なんだろう? さっきまでわたしじゃない好きな人の話をしてたのに)
ーけれど、ほっとした自分が確かに居たのに気づいて、酷く混乱した。眉間の皺が消えそうにない。
キラーはなかなか此方を見ないアユナに気づいて、靴音を響かせながら此方へやってくる。
「どうしたんだ? アユナ」
「……」
「何か言ってくれないとわからない」
キラーはアユナの前に回りこんで片手で行く手を阻み、もう片方の手でアユナの髪にそっと触った。
「アユナ」
「……何?」
「答えてくれ」
「……何でもないよ」
「じゃあ、何で店を出たんだ?」
「……近寄らないで」
「アユナ……」