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【ONE PIECE】もしもあなたが連れて行ってくれたなら

第12章 花言葉の想い


 外はいつの間にか、夕方になっていた。茜色に染まった街中を暫く歩く。
 とぼとぼと歩けば歩くほど、先ほどの言葉が頭に浮かんでは消えて、気分がどんどん急降下していくのが分かる。
 冷静になろうと考えれば考えるほど、脳裏に出てくるのはキラーのことばかり。
 ーいつものキラーがわたしに向ける笑顔と、好きな人に向けているであろう笑顔。
「嫌だな……。キラーが誰のことが好きでも……関係ないじゃない」
 ーいつも好きな人に向ける笑顔と同じ顔を向けてほしい。
「なんて……ね」
 心の中で呟いて自嘲する。
 ー何思っているの? わたしは。
「……」
 ーそれでも、どうしても想像してしまう。彼のその長い手が、指が、わたしじゃない綺麗な頬に触れることを。口端が弧を描くことを。そして、その度に、島にいた時の自分とキラーを思い出す。ーーわたしといた時のほうがもっと優しく笑ってくれていたかな、とか、どうしようもない事をいっぱい考えてしまう。ーーどこかでそのひとに勝るところはないだろうか……。
(そんなの、あるわけない……)
 ぐるぐると考えていたら、歩くことも億劫になってきて、アユナは近くの壁に身体を預けた。
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