第3章 不穏な心
真っ暗闇の中を、ただ赤司さんの背中を追い掛けて進む
ここ何日かで私の顔が森中の怪物に知れ渡ったんだか知らないけれど、襲われる気配はなかった
最も、その時の私はそんなことも気にしていられないほど必死だった
赤司さんはいつもより数倍歩くのが速い気がする
すいすいと進んでいく赤司さん
私は途中で躓きながらもその後を追った
本当にどうしたんだろう
やっぱり様子がおかしい
しばらく進むと、森が終わって町に出た
すると赤司さんは何の迷いもなく再びすたすたと歩き出した
息をつく暇もなく、私も小走りになる
…なんなの
町に何か用事?
一体どこに行くつもりなの?
ただ気付かれないように物陰に隠れながらついて行くと、赤司さんは町外れの一軒の家に何の躊躇もなく入っていった
まるで自分の家に帰ってきたかのように普通にドアを開けて、赤司さんの姿は見えなくなった
急いでその家に駆け寄る
…はて、こんな家いつの間に建ったんだろう
私が赤司さんの所に行った後に建ったのかな
…それにしても不用心だ
ドアに鍵をかけないなんて
そんなことを考えながら、その家の周りをくるくる回る
……どうしよう
流石に人様の家に勝手に上がるのは気が引ける
第一、ここは屋敷みたいに大きくない普通の家だ
その分行動範囲が狭くなるし、見つかるリスクも高くなる
なんとか窓の外から中の様子を窺おうと頑張ってみる
…私、完全に不審者だ
でも、変な音をたてる心臓をなんとか落ち着けたくてなりふり構っていられなかった
そして、その家の裏手にある窓を覗こうとした時