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赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第3章 不穏な心




ごくり、冷たい水が喉を潤していく

それと同時に体も冷えた


…しまった、頭を冷やすつもりが全身が冷えてしまった


ふぅ、と溜め息をついた



…やっぱりこの季節、この寒さに水は選択を誤った答えだったようだ


ホットミルクでも作れば良かったな


冷たくなってきた体を両腕で抱き締めて
早く部屋に戻ろう、と水飲み場から廊下に出たその時





「………赤司、さん…?」




廊下の向こうに見えたのは、赤司さんの後ろ姿


声を掛ける間もなく、彼はマントを翻して角を曲がって見えなくなった



どうしたんだろうか、こんな真夜中に




小走りで、でも足音はたてないように赤司さんの後を追う



すると赤司さんの背中は長い廊下を抜けて玄関まできて、そのまま扉を開けて外に出て行ってしまった




「………………、」




ひょこ、と壁から顔を覗かせるのと同時に玄関の大きな扉がバタンと閉まった



あれ

外に行ってしまった



慌てて扉の前まで駆け寄って、そっと開けてみる



すると、赤司さんが門から出て行くのが見えた




…どこに行くんだろう


というか、何だか様子がおかしかった



体がふらふらしていたし、吸血鬼だというのに追い掛けてくる私の気配に気付かないだなんて



もしかして、何かあったのだろうか


…いや、だとしたら絶対にテツヤさんを一緒に連れて行くはずだ



…じゃあ、どうして外に?




私は扉の向こうに出て、後ろ手にバタンと閉めた


赤司さんの背中はそのまま真っ直ぐに目の前の森に入っていく




行ってしまう




追い掛けようとした時、赤司さんとテツヤさんに耳がたこになる程散々言われたことを思い出した




『くれぐれも、この屋敷から出ないように』





何度も言われた

言われたけれど



もう一度赤司さんを見た



黒いマントのせいで、赤司さんが闇に呑まれていくように見える


あと少し


あと少しで、赤司さんの姿は完全に見えなくなってしまう





『屋敷から出ないように』





わかってる


でも








気が付くと私は、赤司さんの背中を追い掛けて


屋敷の外に駆けていった
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