• テキストサイズ

赤い吸血鬼と女の子 [黒子のバスケ]

第3章 不穏な心






それから数日が経った


赤司さんは真夜中にまた何度か私を呼んだけれど、「もう二度としない」の言葉通り、この前のように血を吸おうとはしなかった



当然私は血を吸われるのが嫌な訳じゃない

でも「吸って下さい」なんて自分から言える筈もなくて



ただ話をしては部屋に帰される

その繰り返しだった



それはとても穏やかで優しい時間で、
すぐに私の楽しみの一つになった



でも、どんなに優しくされても
どんなに頭を撫でられても


あの子のことを話していた時の赤司さんの寂しそうな表情がなかなか頭から離れてくれなかった


だから、本当ならとっくに握り返せるはずの手も、未だに重なっているだけだ



どうしてこんな気持ちになるのか、私にはまったくわからなかった





その日も赤司さんの部屋で他愛のないことを話して、時計の針が一回りした頃に私は自分の部屋に戻された




「(…今日も、握れなかった……)」




暗い廊下を歩きながら自分の手を見て、溜め息


というか、赤司さんがあの子のことを私に話さないままでいたらきっと今頃、手くらい繋ぎ合っているだろうに




「……………はぁ、」




自分の部屋に着いて、すぐさまベッドに倒れ込んだ



だめだ


気まずい、とまではいかないけれど、赤司さんが私に気を遣っているのがひしひしと伝わってきた



きっと彼は、この前私が泣いたのは怖かったからだとでも勘違いしているに違いない




「他の娘の代わりにされて悲しかった」



…なんて、赤司さんが気付くはずもない


そんなことを悶々と考えていたら、
どんどん目が冴えてきた



ああ、もう真夜中なのに




ゆっくりベッドから起き上がる


水でも飲んでこようか

テツヤさんを呼べば持ってきてくれるだろうけれど、今は少し歩いて頭を冷やしたい



私は白いカーディガンを羽織って、
そっと部屋を出て行った



















/ 120ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp